離婚後の氏の変更
1.原則は「離婚によって氏を改めた夫または妻は、婚姻前の氏に復する」(民法767条1項)とされており、結婚する前の氏に戻ります。
戸籍は、結婚前の戸籍(実家の戸籍)に戻るか、単独で新しい戸籍を作るかになります。
2.しかし、引き取った子どもに氏の変更をさせたくなかったり、仕事の関係で婚姻中の氏を名乗る方が良いとされる場合は、「離婚の日から3箇月以内に届けることによって、離婚の際に称していた氏を称することができる」(民法767条2項)とあり、離婚の日から3ケ月以内に「離婚の際に称していた氏を称する届」を市区町村役場へ提出すれば、婚姻中の氏を名乗ることができます。
この届けには、相手の許可や署名はいりません。
ただし、離婚後も婚姻中の氏を名乗る場合は、結婚前の実家の戸籍には戻れません。新しく自分で戸籍をつくることになります。
3.3ケ月経過したあとになってやはり氏を変更したくなったときは、家庭裁判所に「氏の変更の許可申立書」により申し立てします。戸籍法107条によると「やむを得ない事由」が必要ですが、離婚がからんだ氏の変更は、一般的なものよりは認められやすいようです。
とはいえ簡単に認められない場合も多く、このような申し立てをすることのないよう3ケ月間の考慮期間がありますから、慎重に氏の選択はするべきでしょう。